「アラブ世界では代数学が発展した」とはよく聞くけど、どうも自分の中でしっくりきていなかったというか、要するにあんな難しいものがどうやって始まり発展したのだろう? と気になっていたのですが、最近思うのです。代数学の始まりとは、「イコールの学問」だったのではないか? と。
つまり、「ある数を2乗して1引いたら元の数と同じになるような数はあるかな?」とか、「1引いてから2乗したら元の数の2倍になるような数があったら面白そうじゃない?」みたいな素朴な疑問から始まったのではないかと思うのです。なにかの操作をした数と別の操作をした数が「同じ」、すなわちイコールの学問ではないかと。
これは現代の言葉で言えば前者は「」、後者は「」のことになります。これはまさに方程式です。「代数学が発展した」「方程式の学問が発展した」っていきなり言われても実感がわかないけど、こういう素朴な疑問から始まったとしたら、最初期の代数学がこれを出発点にどんどん発展していったというのもうなずけるし、当時の人達の気持ちに思いを馳せることもできるような気がします。
2乗して巡回する数
さて。そんな感じでいろいろやって遊んでいたのですが、その一環でこういうのも考えてみました。
つまりさっきの感じで言うと「2乗するたびにぐるぐる巡回するような3つの数は作れないかな?」ということです。
自明な解として、「」と「」があるのですが、ちょっと頑張って解いてみると虚数解も出てきます。それのうち1つが、タイトルにあった「」なわけです。
今回は「どうやって求めるの?」とか「なんで7とか出てくるの?」とかはまるっきり置いといて、「これ2乗するとマジで3つの数をぐるぐる回って面白いから見て!!!」ってだけの話です。
次から実際の式変形のようすを見てみますが、いちおう指数の計算法則としてこの2つだけはインストールしておいてください。
「分数乗」とかが出てくるわけですが、それがどんな意味を持つかは気にせずに、ただただこれらの法則を適用していってるだけですのであまり身構えなくても大丈夫です。
実際に2乗してみる
を2乗すると、2乗なので外側のマイナスが消えて、
そして指数法則で
になります。それをさらに2乗します。
出てきたを、さらに2乗します。ここが大事なところです。
あ! ほら! もとにもどった!
これはすなわち、「」「」「」とは、「2乗を繰り返すとぐるぐると巡回する3つ組の数」であるということにほかなりません。
ラストのを2乗するところが最高に気持ちいいですね。最初に2乗することによって消えていたマイナスが、うまいこと再登場しているわけです。うまいことマイナスが再登場することにより、もとの数に戻る、と。とてもよくできています。
よく出来ている感をさらに実感するために、もう一つの3つ組の例で見てみましょう。から始めます。
が出てきます。これを2乗します。
このを2乗して元に戻ればうれしいわけです。
よっしゃあ! 戻ってきた!
「」「」「」という3つ組のいっちょあがりです。やっぱり最後の段階のところになんともいえない感慨がありますね。
ちなみに「2乗で巡回する数の3つ組」は、「」と「」を除けば上で挙げた2組しかありません。
気になる
なぜ、指数の分母に「7」なんて数が出てきてるのか? そもそもなぜこんなにうまくいくのか? 不思議ですね。気になりますね。しかし前述のとおり今回の目的はそこではないのでこれで終わりです。うまいことぐるぐるまわる感動さえ伝われば幸いです。
数学とは「なんでだろう? 気になる!」を原動力として発展する学問のように思います。
だからなんだというわけではありませんが。
ではまた。
3乗だとどうなる
ちなみに3乗の場合、つまり、
みたいな感じでぐるぐる回るやつを満たすような数のうち一つは、「」です。やり方は上に書いたとおりなので、この数に3乗を繰り返すと元に戻ってくるかどうか確かめてみるといいと思います。めっちゃ気持ちいいから。マジで。