こんにちは。みなさんは、素数をやっていますか?
この記事は、素数大富豪アドベントカレンダー2日目の記事です。1日目はにせいさんの「素数大富豪アドベントカレンダー!」です。
「素数大富豪」というトランプゲームがあります。詳しいルールなどは上記記事をご参照ください。「新たな素数に出会えるゲーム」と銘打たれたこのゲームは、もちろんそのキャッチコピーの通り多くの新たな素数に出会えるということも魅力の一つなのですが、素数をどんどん覚えてどんどん強くなっていくという楽しみがあることも無視できません。
素数大富豪をはじめとして、大人のたしなみとして素数をやる機会が増えた昨今です。1000までの素数を眺めましょう。
2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71, 73, 79, 83, 89, 97,101, 103, 107, 109, 113, 127, 131, 137, 139, 149, 151, 157, 163, 167, 173, 179, 181, 191, 193, 197, 199, 211, 223, 227, 229, 233, 239, 241, 251, 257, 263, 269, 271, 277, 281, 283, 293, 307, 311, 313, 317, 331, 337, 347, 349, 353, 359, 367, 373, 379, 383, 389, 397, 401, 409, 419, 421, 431, 433, 439, 443, 449, 457, 461, 463, 467, 479, 487, 491, 499, 503, 509, 521, 523, 541, 547, 557, 563, 569, 571, 577, 587, 593, 599, 601, 607, 613, 617, 619, 631, 641, 643, 647, 653, 659, 661, 673, 677, 683, 691, 701, 709, 719, 727, 733, 739, 743, 751, 757, 761, 769, 773, 787, 797, 809, 811, 821, 823, 827, 829, 839, 853, 857, 859, 863, 877, 881, 883, 887, 907, 911, 919, 929, 937, 941, 947, 953, 967, 971, 977, 983, 991, 997
どう考えても覚えておいたほうが人生に有利です。
2,3,5...と順に覚えていってもいいのですが、それではどうにも効率が悪い気がします。ていうか今「素数 覚え方」でググってみたら2から順に語呂合わせで覚えるやつばっかり出てきてびっくりしました。例えばこれとか。
これでもいいのですが、もっと情報量を圧縮した覚え方はないのでしょうか。ここでちょっと100までの素数を表にして見てみましょう。
赤いのが素数です。5より大きい素数において、一桁目は必ず1,3,7,9のいずれかになることが見て取れます。一桁目が偶数だとその数自体も偶数に、一桁目が5だとその数は5の倍数になるからですね。
何をあたりまえなことをと思われるかもしれませんが、これはすなわちもっと情報量を圧縮できることを意味します。一桁目が1,3,7,9である数のことしか考えずにすむわけですから。
これを踏まえるとこういうことがいえます。
「自然数を10ごとに区切ったとき、素数の分布がどうなっているかは四つの要素の有無だけで表現できる」
もっというとこうです。
「素数を覚えるには、自然数を10ごとに区切って2⁴=16種類のものの並びだけ覚えればすむ」
どういうこと?
例えば820台は、821、823、827、829と、一桁目になりうる四つの数である1,3,7,9全てをくっつけられます(こういうのを「四つ子素数」といいます)。150台なら1と7の二つ、870台は7のみ、200台、320台、510台などは一つもありません。この1と3と7と9の選び方が、16種類だというわけなんです。書き出してみましょう。
ちゃんと16種類ありますね。一番右の「例(**0台)」っていうのは、例えばそこに「14」って書いてあったら「140台」って意味です。その欄には「9」しか書いてないので、140台に存在する素数は149だけということがわかります。
ここまでわかれば、あとは10台、20台...と順にこの16種類の並びを覚えていくだけです。
たった16個のものの並びを覚えるだけ! 2から順に一つ一つ覚えていくよりよっぽど効率的だとは思いませんか!
16種類の名前をどうするか
ここでちょっとした問題があります。16種類それぞれに、短くて混同しないような名前がついていないと覚えづらいのです。
上で使った番号でもいいですし、2進法で番号付けをしてもいいのですが、それだと番号とどの数が対応しているか考える手間が生じてしまいます(例えば「430台は13番」って言われてもこまる)。シンプルに「1と3→13」「1と7と9→179」みたいな感じでいってもいいのですが、それだと長いし何より混同しがちです。そこで一捻りしました。
一つしかないもの(4種類)についてはそのまま覚えます。
一つもない、あるいは全部あるもの(各1種類)については「なし」「全」として覚えます。
三つあるもの(4種類)については「9以外」ないしは「-9」のようにして覚えます。
二つあるもの(6種類)については、こうです。
- 1,3→「上」
- 3,9→「右」
- 1,7→「左」
- 7,9→「下」
- 1,9→「\(バックスラッシュ)」
- 3,7→「/(スラッシュ)」
要するに、携帯等で文字を入力するときの数字の並びなのですね。これである程度、「短く、混同しづらい」16種類の名前ができたことになります。
1000以下の素数を一覧にしたものがこちらです。適当に色分けもしてみました。2,3,5,7は覚えたものとして、11からはじめます。
例:「350台」に「右」があることは、350台の素数が353、359だけであることを意味します。
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「ぜんみぎひだマイきゅうみぎひだマイなな...」って感じでいつも唱えていれば1000以下の素数を覚えきるのも時間の問題と言えるでしょう。
「右とか左とかむしろ覚えにくい! 1と3なら13、1,3,9なら139ってそのままつなげればいいじゃん!」って人はそのようにしてください。個人的にこっちのほうが混同しづらかったというだけのことです。やり方自体は他にもいろいろ考えられると思います。自分がいちばん覚えやすい名前でやるとよいでしょう。
いろいろ気づくことがある
さて、「覚え方」としてはこれでいいのが見つかったのでこの記事のテーマ的には解決したといっていいのですが、この表見てるといろいろな発見がありますね。
例えば1000以下においては「下」と「-3」がそれぞれ一箇所しかないんですね。「/」、「\」もかなり珍しいようです。対して「右」と「左」の多さが目立ちます。540台〜590台の「左7右左7右」という繰り返しなんか特に覚えやすくて助かります。
きっと他にもまだまだ発見があるのでしょう。探してみると楽しいと思います。
もう少し圧縮できそう?
「**0台」の「**」の部分が3の倍数のときは「1」「7」「左」「なし」しかありえません。ここが例えば「3」や「右」だったならその数自体も3の倍数になって素数になりえないからです。
逆に、「**」が3で割って2あまる数のときは「3」「9」「右」「なし」しかありえません。上と同じ理由です。
それゆえに、「全」「\」「/」「上」「下」がありうるのは「**」が3で割って1あまる数のときだけになるんですね。それを知ったうえであの表を眺めてみるとなんとなく3拍子のリズムが見えてきます。
このような3の倍数に関する情報があるので、もしかしたらもう少し効率のいい覚え方が発明されるかもしれません。発明された方はぜひ教えてください。お待ちしています。
素数大富豪アドベントカレンダー明日は、先日の素数大富豪大会Mathpower杯において私をブチ負かして優勝したみうらさんによる新ルールの提案です。次は負けないので首を洗って待っててください。