心の健康のために定期的に整数問題を解いておきましょう。
こないだは京都大学の入試問題を「あまりによって場合分けする」ことで解きました(京大理系数学の入試問題(2016)が面白いらしい - アジマティクス)。たのしかったです。
今回の問題はこれです。ツイッターより。
この前気になった「連続する二数の二乗和が素数」となり隣接するもの(例 1201と1301)を調べてみたら結構たくさんあった。なんか法則性あるかな?
— miyamo (@DMiyamo3) 2016年9月26日
(続き)
— miyamo (@DMiyamo3) 2016年9月26日
1,2,3のとき
1^2+2^2=5, 2^2+3^2=13
から
99,100,101のとき
19801, 20201(計算略)
までで8個ある。中心の数を書き出すと、
2, 5, 25, 30, 35, 70, 85, 100, ...
2以外は5の倍数。なんで?
DMiyamo3 予想: n≠2 とする。(n-1)^2 + n^2 と n^2 + (n+1)^2 が共に素数ならば n は 5 の倍数。 https://t.co/09nd7DRniu
— tsujimotter (@tsujimotter) 2016年9月26日
答えはこれです。
というわけで、もう少し簡潔にまとめました pic.twitter.com/64nELj0E9d
— tsujimotter (@tsujimotter) 2016年9月26日
答え出しちゃった
上記の答えを見てすぐに理解できる方はここから先は読む必要ないです。しかし私を含む多くの方にとってはすぐに理解するのは難しいことだと思います。というわけで解説します。
ツイート内にもありますがここで改めて問題を書いておきましょう。
とする。
と
が共に素数ならば、
は
の倍数であることを証明せよ。
問題をちゃんと捉えておく
まずは問題の意味をきちんと捉えておきます。
ある整数を考えたときに、先に書いてある方「
」とは、「
の一個前の数の2乗と、
の2乗との和」という意味として捉えられます。
が
だとしたら
で
。そうすると後に書いてある方
は「
の2乗と、
の一個後の数の2乗との和」ということになります。
が
だとしたら
で
です。
この二つの和がともに素数であるとき、真ん中の数は何故か必ず
の倍数になる気がするぞ? なんでだろ? というのが今回の問題です。たしかに上記の例では前者が
、後者が
で両方素数です。両方素数のとき、真ん中の数は
なのでたしかに
の倍数になっており、成立しています※。なんででしょう。気になりますね。やっていきましょう。
※例えばのとき前者の
は素数ですが、後者の
は
なので逆(
が
の倍数ならば両方素数)は成立しません。
解きにいきましょう
まずは簡潔に書くため、に関する関数である
(先に書いてある方)を「
」とおきます。そうすることにより、後の方
は「
」と書くことができるようになります。前者の
の部分を全部
に置き換えれば後者になる、ということです。簡潔でいい感じです。
さて、下ごしらえができたところで、さっそくあまりで分類していきましょう。整数問題はあまりで分類するに限ります。
すべての整数をで割ったあまりによって分類し、この世に整数が
種類しかない世界の上で考えます。すなわち、この世には
で割ったとき
あまる数(
の倍数)か、
あまる数か、
あまる数か、
あまる数か、
あまる数という
種類しか数がありません。
「は
で割って
あまる数」というのを、「
」というふうに書きます。「
あまる」なら
。以下同様です。
だとして、
を
に代入すると、
で
となります。
が
の倍数のとき
は
で割って
あまる数、ということがわかりました。
以下同様にやっていくと、
(
が
で割って
あまる数のとき、
は
で割って
あまる数)
となります。
後者のの場合は、
の部分をそのまま
に置き換えればいので、
となります。の
を移項するとこう
なるので、要するにから見ると一個ずつズレてるだけなわけです。
ところで、は「素数」でした。素数なので、「
は少なくとも
の倍数ではない」ということです。なので上記の式のうち、
が
の倍数になっちゃうやつ、つまり右辺が
となっているような
は、問題の条件に当てはまらないので除きます。
問題の条件に当てはまるような、すなわち右辺が
の倍数にならないような
を探すと、
においては
、
においては
があてはまります。「両方素数」という条件だったので、両方にあてはまっているものを探すと
だけが残ります。
も
も
の倍数でないときの
は
の倍数に限る、ということです。
まとめるとこんな感じです。
も
も素数 ⇒
も
も
の倍数でない ⇒
は
の倍数
解けちゃった
ハイこれでいっちょあがりですが、一応が「素数かつ
の倍数」すなわち
のときのことも考えておきましょう。
を
にするような
は、
しかありません。
のとき、
、
なので両方素数です。成り立ってますね。問題には
とありますが、これを考えておくことで
と
がどんな素数でも成り立つようにできるのでおいしいわけです。
以上をまとめたのが、上記tsujimotterさんの解答であるわけです。以上を踏まえてもう一度見返してみましょう。
というわけで、もう少し簡潔にまとめました pic.twitter.com/64nELj0E9d
— tsujimotter (@tsujimotter) 2016年9月26日
なるほどー! いまなら分かる!
スッキリした
整数問題を解いて心身が安定しました。今日も一日がんばっていきましょう。
ん......?
@mathcafe_japan @tsujimotter @DMiyamo3 考える楽しみを奪ってしまったので追加で問題を!
— ゼリー (@Jelly_in_a_tank) 2016年9月26日
n>1とする。
n^2+(n+1)^2と(n+1)^2+(n+2)^2が共に素数となるとき、これらの素数の10の位がいずれも偶数となることを示しましょう!
やったー! まだまだ問題が解けるぞ!!